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特講・混植法

 ■発行日2018.08.12

混植法とは2種類以上の複数の苔を同じ場所に植えます。庭園や露地のように広い面積への植え付け方法で、テラリウムや苔ボトルなど小さな作品への植え付けではありません。
混植の目的は特性が違う苔を複数植えることで、時間をかけて環境にあった苔が残り定着していきます。上の画像は宇都宮の庭園 最初はスギゴケを植えたそうですが、10年を過ぎるとスギゴケはほとんどなくなり、自然に育った苔に覆われていました。タチゴケ、コスギゴケ、コツボゴケ、アオギヌゴがみえます


良く育つ苔を選ぶ
■失敗しない苔庭つくりへ
  苔庭や露地栽培で苔定着の一番のポイントは、その場所に適した苔を選ぶことで、適切なコケが選べればあまり手間をかけずに苔も育ってくれます。しかしどの苔にするのか、これを見極めるのが難しいのです。
 園芸に使われる苔の種類は多く、育つ環境もさまざま。湿潤を好む苔、乾燥を好む苔、好日性、日陰性の苔もあれば高山性の苔もあります。
また広い庭では、場所が変われば日当たりや乾燥具合も変わってきます。同じ苔を植えても全部が良く育つことは少なく、なかなか定着しない場所もでてきます。
地域性も考慮しなければなりません。たとえば寒い地域でも降雪が多いところと、雪が少なく強い寒風があたるところでは全く違う環境といえます。
日照時間や照度、湿度を測り、地域性も考慮すれば、ある程度良く育ちそうな苔も予想はできます。しかし植えてみないと実際には分かりません。せっかく植えた苔が消えてなくなるのはかなりのショックですし、施工面積が広ければ尚更です。
 定着に失敗したら植えるコケを変えてみる。そんな植え替えを何回も繰り返すというのはコストと労力、そしてなにより時間がかかりすぎます。

選択に迷ったり、少しでも定着率を上げたいのであれば、勧めなのが複数の苔を植え付ける混植法です。

埼玉草加


東京日暮里

西芳寺の苔は熾烈な競争をしている
西芳寺は京都西山、広大な区域を境内とする苔の名園です。本堂へ向かう参道にはコバノチョウチンゴケ、ヒノキゴケ、スギゴケが見られ、お庭ではシラガゴケ(山苔)が目立ちます。
 大きな池を中心に一万坪以上の庭が苔で覆われ、100種類以上の苔が生えているといわれています。境内の地形が良く、盆地の西端で、三方を山に囲まれ、常緑落葉は適度で直射光を弱め、池の面積が広いので空中湿度は多く適度に滞留する。境内は適度な傾斜が多く排水が良いなど、苔の生育に恵まれた環境であることは間違いありません。
もちろんお寺の管理は周到で、そのまま庭造りの参考にするには無理があります。しかし庭園の苔は他から導入して育成したものではなく、この地に自生していたものをそのまま数百年の年月をかけて育成したものです。これは庭造りのヒントになります。

 秋山弘之著 苔の手帳 研成社の45ページ熾烈な陣取り合戦(上野健著)のなかで、苔たちの「生育場所をめぐる競争」について書かれています。そのなかで [コケ同士が微地形のなかで熾烈な場所取り」をしていること。ある生育場所で旺盛に生育していても、地形の変化などで追いやられる」栄枯盛衰のドラマがあると書かれています。
 
コケ植物はそれぞれ生育できる環境はだいたい決まっています。湿潤地を好むコケを日向に植えても育ちませんし、好日性のコケを日陰地に植えても育ちません。そして陽の当たる場所では好日性のコケ同士で場所取りがあり、日陰では日陰性の苔同士の熾烈な競争があります。また環境が変わればほかの苔に追いやられ、違う苔がコロニーを広げるようになります。

西芳寺にはヒノキゴケや山苔など美しい苔が生育していますが、それは熾烈な場所取りを繰り返した結果であり、その中にも100種類以上の苔が出番を待って隠れています。



西芳寺 シラガゴケ(山苔)



西芳寺参道 ヒノキゴケ
よくある質問
 
Q: いろいろな苔を混ぜて植え付けても、何も育たないことはありますか?
A: はい、あります。しかしそれは、どんな苔でも育つには厳しい場合です。苔庭つくりでははじめに苔が生育できる環境をつくります。樹木を植えて直射光を弱めたり、土壌改良や散水設備などは必要です。


混植LLポット