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コツボゴケの基本

                   土手の草むらに自生するハイゴケ

■コツボゴケとは
■コツボゴケ
 日陰で湿度が安定した場所で良く育ち、苔庭によく利用されます。多くは庭園の施行時に植えられたものではなく、自然に生え、時間を掛けて広がったものが多いようです。
 
コツボゴケはチョウチンゴケ科ツルチョウチンゴケ属 園芸では主にコツボゴケとツボゴケがコツボゴケとして扱われています。この2種は肉眼的には区別ができませんが、コツボゴケは雌雄異株、ツボゴケは雌雄同株で、直立茎の上に生殖器官が見られるのがコツボゴケです。

半日陰〜日陰地で安定した湿度が保てれば育てやすく、苔玉にも使われます。腰水に浸した状態でも水のやりすぎにはならないため、乾燥した室内でも育てられます。最初の苔玉つくりにはコツボゴケがお勧めです。テラリウムやアクアテラリウムにも同じ理由で適しています。都心や市街地の公園でも普通に見つけることができます。

冬は乾燥と低温で草姿は細くなり、葉はかなり矮小化します。葉の色も緑が濃くなります。春になり、雨が多くなると旺盛に丈を伸ばし、日陰地でも黄緑色の明るい葉色になります。草姿が細い冬と、生育期とでは大きく印象が違います。
 風通しの悪い場所で温度が高いと蒸れを起こしやすく、注意が必要です。ヒートアイランドで気温が上昇する市街地では、温度管理も大事です。夏は日陰で風通しの良い環境を作るようにしてください。 


■良いコツボゴケとは



褐色部分がコツボゴケ
後方は芝生です
 細く伸びたものよりは、太く生え揃っているもの。色は緑の濃いも
のより黄緑色。丈が短く生育密度のあるものが良いコツボゴケで
す。左上の画像

コツボゴケは少々乾燥している場所でも、その環境が長く安定して
いれば、適応して丈夫に育つのですが、そんな場所で降雨が続い
たりすると短期間で大きく徒長します。大きく徒長した苔はボリュー
ムがあって美しいのですが、急激に徒長したため軟弱になっていま
す。暖かくなる春から梅雨のころに露地で大きく徒長させてしまうと、
梅雨明け後の暑さや強烈な日照に耐えられず、簡単に蒸れを起こ
してしまいます。

コツボゴケに限らず苔栽培のポイントは、苔を徒長させず小さく太く
育て、生育密度のあるコロニーを作ることです。コツボゴケのように日
陰と湿潤を好む苔は、とくに自然で育つ苔の環境よりも少し厳しい
環境(枯れない程度に)で育てなくてはなりません。
苔を大きく美しう育てるのは簡単です。しかし徒長させないように小
さく育てるには苔によってコツがあります。
特講では個のコツについても解説していきます

左下の画像は小石川後楽園のコツボゴケの群落ですが、降雨の
多い梅雨だったため大きく徒長したようです。その後の猛暑で短期
間で蒸れを起こたようです。
 

■コツボゴケの入手方法
花木センター、ホームセンター、園芸店など・・・店舗ではほとんど
扱われていません。
通販で入手できます。パレット、ポット、パック、段ボール入りなど
用途に合わせて入手できます。
採取する・・・里山や日陰の畦道、土手や林の縁に普通に見られ
る苔で、ハイゴケなどとともに最も採取しやすい苔です。枯葉や腐
葉土が溜まるよう林の中ではみられません。

画像は通販のポット商品
 


■殖やし方 まきゴケ法 + はりゴケ法


コツボゴケは粉砕しない
まきゴケ法とは少量のたねゴケを粉砕して土に撒いて殖やす方法。
はりコゴケ法とは苔のマットをそのまま移植してはり付ける方法で、増やすというよりは移植のイメージで、庭の施工でははり苔法が一般的です。
殖やしかたとしてはまきゴケ法がありますが、コツボゴケやハイゴケ、シノブゴケのようなほふく性の苔は、細かく粉砕してしまうとかえって密生するまでに時間と手間がかかってしまうようです。

勧めなのが、はりゴケとまきゴケの組み合わせ法です
苔は小さく粉砕せず、手で粗くほぐしてやります。大きな草姿を残してこれをプランターなどに敷き詰めていきます。或いは苔のマットを伸ばして広げるような方法でも良いでしょう。
目土をかけて、水やりを続けます。春なら成長が早いので、露地植えでも可能です。

■庭への植え付け

植える場所は明るい半日陰で直射光が当たらない場所。意外と風通しの良い場所を好みます。風通しの悪い場所で気温が上昇すると蒸れやすく、風通しの良い涼しい場所のほうが蒸れを起こしません。多くの苔は寒さと乾燥には強く、高温での蒸れに弱いものです。
植え付けは「はりゴケ法」が一般的です。水はけをよくした土に苔のマットを敷いて軽く鎮圧し、目土を入れます。コツボゴケはほふく性の苔で、横に広がるように育ちます。


密度のある苔マットは植え付けてからの新芽を伸ばす余地がありません。また厚みのある苔マットは保水力があるため、温度が上昇すると蒸れを起こすことがあります。薄い苔のマットであればそのままはりごけで問題はありませんが、厚く密度のある苔マットの場合は、マットを1.2倍〜1.4培くらいに伸ばして広げて密度を疎にしてやります。新芽が育つスペースを作ることで、新芽も均一に生え揃ってきます。「殖やし方」と同じ考え方です


日光市個人宅 コツボゴケ

■テラリウム、アクアテラリウム

湿潤な場所を好む苔なので、アクアテラリウムのように過湿な状態になっても根腐れなどせず良く育ちます。黄緑色の明るい素材です。


■コツボゴケの保管
入手したコツボゴケを保管します
 庭園材・・・・苔の中でも蒸れやすい苔になります。箱に入ったものをそのまま置くのは蒸れを起こします。特に陽の当たる場所や車内、暖房のきいた部屋などは冬でも短時間で蒸れをおこします。とりあえず箱は蓋を開けて風通しの良い日陰に置きます。すぐに植えないのであれば箱から出し、風通しの良い日陰にならべます。乾燥させないように水やりをします。水やりと乾燥を繰り返すようであればかえって苔には良くありません。水やりをしてもすぐに乾燥するようであれば、風通しの良い日陰において水やりはせず、適度に乾燥させておきます。カビが発生する前に早めに植え付けてください。

 パック商品・・・・密閉されたパック商品は長期保管ができません。冬でもとりあえず冷蔵庫に入れることをお勧めします。常温で置くときはパックの蓋を開け、風通しの良い日陰におきます。乾燥しても水はやりません。 
 栽培ポット・・・・鉢植えと同じです。風通しの良い日陰に並べ、乾かないように通常のとおり水やりをします。ポット商品は店舗での管理に適しています。

全ての管理に共通していますが、湿度が高く温度が上がると蒸れたりカビが発生します。特に梅雨時は空中湿度が高いため、乾燥させた苔でもカビが発生します。基本的には風通しの良い日陰に置きます。苔が良く育つのが梅雨の頃ですが、カビや蒸れなどで保管が難しいのもこの時期です。梅雨から夏の時期は長く保管せず、早めに植え付けてください。 


梅雨時のカビ
中途半端に水をやるよりは
風通しの良い場所で乾燥させる


日光山内
風通しの良い石垣の上に大きな群落を作る