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コウヤノマンネンの植付


               庭園には珍しいコウヤノマンネンゴケの群生
               (日光の社寺・世界遺産・逍遥園・7月)



@ コウヤノマンネンゴケに適した植え付け = 移植法
  苔の葉を粉砕するまきゴケ法はコウヤノマンネンゴケでも殖やすことができます。しかしコウヤのように大型の苔は発芽から大きく育て、さらに地下茎がしっかりと育つまでにはかなりの日数を要し、その間の管理にも手間がかかります。

コウヤノマンネンゴケのような大型の苔は、たねゴケになる親株を植えて、そこからの新芽を育てる方が早くきれいな群落に育ちます。親株や地下茎からの新芽を育てるやり方で移植法と言います。

 移植法はコウヤノマンネンゴケに適した植え付け方です。


葉を細かくして「まきゴケ」で植え付けてみました。3年過ぎても大きく育ちませんでした。移植法だと新芽が育ち始めます。

A 植え付け適期

梅雨時から秋にかけて良く育つので、植え付けは春先から10月中旬頃までが適期です。これは屋外で管理する場合で、室内や冬期の管理ができるのであればいつ植えても問題はありません。

B 親株は変色しやすく回復は困難

  コウヤの親株は丈があるため、室内などの乾燥の影響を受けやすく、植え付けてまもなく葉先から変色しまうことがあります。状態の良いものでも翌年か翌々年には衰えてやがて枯れてしまいます。コウヤの基本的な移植の考え方は、この親株を良い状態で維持するのではなく、新芽を伸ばし、これをその場所の環境に適応できるように育てることです。              植え付けて変色した親株は枯れたわけではありません。環境の変化に適応できず色が悪くなっただけなので、水やりは続けてください。親株の変色は通常のことであり、安定した湿度と温度、日光があれば新芽が出てきます。尚、褐色化した親株の回復はかなり困難です。

C 自生地の土と栽培のための培養土

自生地のコウヤは沢の斜面の岩場や、川の近くで湿地の腐葉土上に群生を作ります。湿度や土壌の水分は高く安定しています。沢のコウヤも斜面の岩場などに溜まった腐葉土に育つので、用土は腐葉土を使いたいところですが、意外と植え付け用土には適していません。自生地の腐葉土は枯葉だけでなく、杉や桧などの大きな枝が混ざって大きな隙間があり、通気性があります。市販の腐葉土は重なって濡れると案外通気性が無く重くなります。これでは小さな新芽が表土から頭を出すこともできません。コウヤ移植法の用土は軽く大粒で通気性が良いこと。さらに保水性も必要です。コウヤでは腐葉土を混ぜるメリットはありません。

D 用土作り

  コウヤやヒノキゴケなど大型の苔は植え付けが深く、目土の量も多くなります。このため粒の小さな土では重く通気性が悪いため新芽も育ちません。大型の苔では標準用土(目土)に粒の大きな軽い改良材を加えます。お勧めはバーミキュライト、パーライト、軽石、赤玉土、鹿沼土など。用土にいずれかを加えるだけでも土質はとても良くなります。苔の用土、目土の詳細は特講・用土カタログ特講・苔目土の作り方を参考にしてください。                            
    大型のコケの用土・目土
                       黒土(または消毒した庭土、畑土)・・ 30%
                       川砂(または山砂)・・・・・・・・・・・・・・・ 10%
                       ピートモス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20%
                       つぶ軽石、バーミキュライト、赤玉土、鹿沼土など
                                 ・・・・ 40%

E 植え付け容器

しっかりとした株に育てるのであれば10cm程度の小さい植木鉢や黒ポットが適しています。管理しやすく新芽を大きく育てられます。新芽の芽数を増やすのであればプランターや挿し芽箱が良いでしょう。ほぐした親株を用土に広げて目土を被せます。一本当たりの表土面積が大きくなるためか、芽は小さいものの芽数は殖えるようです。植え付けが浅いので、小さな新芽の頃の表土の乾燥に注意します。
画像は50cm×35cmの挿し芽箱で栽培

F−1 植木鉢、ポットへの植え付け

植木鉢の底にゴロ土を入れてコウヤの親株2〜5本を束ねるように深く植えます。深く植えるため軽く通気性のよい土を入れます。土作りに迷ったら、中粒の赤玉土単体でも育ちます。コウヤは草姿が美しいので、表土から大きく露出させたいところですが、表土から新芽や葉が覗くぐらいに深くします。親株の露出を小さくすることで乾燥や陽射しの影響を小さくし、確実に新芽が育つようにします。
F−2 プランター、挿し芽箱への植え付け
プランターの底にゴロ土を薄くいれてから,樹皮培
養土を厚さ3〜5cm平らに入れる。地下茎がち
ぎれないように丁寧に親株をほぐし、樹皮培養
土に広げます。重なっても問題はありませんが、
均等に広がるように敷き詰めます。基本目土に
赤玉土やバーミキュライトを多めに混ぜた目土を
入れます。葉や新芽は表土から少し出るよう
に、地下茎は露出しないように丁寧に目土入れ
します。
F−3 露地、庭への植え付け
露地植えは植木鉢やポットと同じように深く植えて、軽く通気性の良い土を入れます。またポットや植木鉢で育てたしっかりした株を移植すれば露地での定着も確実です。葉が大きく露出しないよう、赤玉土などの目土をします。
プランターと同じように広く浅く植え付けることもできますが、新芽が乾燥に弱いため管理に手間がかかります。

G 発芽・管理

  暖かく安定した水分があれば発芽は早く(1〜2ヶ月)、芽がすでに付いている株を植えたのであれば芽も大きく伸びてきます。室内などの乾燥した場所では親株の葉は一ヶ月ほどで褐色化して来ることがあります。特に表土からの露出が大きいと、葉も乾燥し変色してきます。親株の変色は枯れたわけではないので、そのまま用土が乾かないよう水やりは続けてください。  変色して見栄えは悪くなりますが、新芽のためにも完全に枯れるまで取り除かないように。 画像=新芽が三本、親株は1年目に取り除きました
置く場所は明るい半日陰で安定した湿度が必要です。直射日光は当てないようにします。室内は乾燥しているため、親株の葉先から変色することがよくあります。室内では保湿容器での管理がお勧めです。

H ポイント
コウヤは地下茎を伸ばしながら大きな群落に育つ珍しいコケなので、地下茎も使って植える移植法がお勧め
 もちろん苔を粉砕し(種ゴケ)にして増やす(無性生殖)こともできますが、まきゴケ法でなかなか大きな株にはくは育ってくれません。管理しやすく、確実に育てるならば移植法が適しています。
画像はコウヤの地下茎 
左の親株から右に次の新芽、その右に三代目の新芽が育っています
画像は地下茎から伸びた新芽

地下茎からの新芽は数ヶ月で大きな親株に育ちますが、この新
芽がある程度大きく育つと、次の新芽が育ち始めます。
親株から育つ新芽は一つ。他の苔と比べて芽数を増やすのに
時間のかかるコケです。
季節にもよりますが、草姿よりも新芽が多く見られる苗を選びま
しょう。
通販商品のコウヤ丸ポット

環境の変化に弱いコウヤを露地で増やすには管理が大変です。露地植えでは、ポットでしっかり育った苗を移植法で植えまると定着が容易になります。
画像=3〜4株の親株を植えてからおよそ3年目のポット。
地下茎から育った新芽がしっかりした株に育ちました。
地下茎だけでなく、葉や茎からも新芽が育つ

プランターや挿し芽箱での栽培はは、移植法よりはまきゴケに近
い植え方です。地下茎だけでなく、茎や葉からも新芽が育つた
め、芽数を増やしたいのであればポット植えよりもプランター栽培
です。