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スナゴケのまきゴケ

■発行番号0010 ■発行日2011.04.10  ■更新2018.10.05


■スナゴケを手でほぐし、あるいは粉砕した葉や茎を土にまくと、そこから新らしい芽が伸びてきます(無性生殖)。播いて殖やすのが「まきゴケ」です。スナゴケは発芽が早く、日照や乾燥にも比較的強いため、まきゴケで殖えやすく、苔園芸入門にお勧めの苔です。植え付けてから30日目ぐらいからポツポツと芽を伸ばし始めます。                         


まきゴケの時期

真夏の屋外管理は表土が乾燥しやすくなるので梅雨明けぐらいまでにはある程度密生するまでに育てたいところです。春の植え付けは霜柱が立たなくなったら準備を始め、地温が上がってきたらまきゴケ作業します。最低気温が0度以上であること。10度以上あればよく発芽します。夏の植え付けはお盆を過ぎたら準備をはじめ、9月中に作業を行います。10月では遅く、充分に密生しないまま寒い冬を迎えることになります。プランターに植えて室内や温室で管理するのであればまく時期を気にする必要はありません。

準備するもの
 
プランター鉢植えの場合
 ・ プランター・植木鉢・挿し芽箱など
 ・ 用土(鉢底用の赤玉土、川砂、黒土、赤玉土(鹿沼土)細粒、バーミキュライト、ピートモスなど)
 ・ シャベル
 ・ たね苔(生スナゴケ、または乾燥させた生苔)

庭へのまきゴケの場合
 ・ 川砂(または山砂)、ピートモス、バーミキュライト、赤玉土細粒など
 ・ スコップ


土を作る
  スナゴケは砂混じりの比較的水はけのよい土を好みます。庭植の場合は充分に庭土を耕してから、川砂を混ぜます。できればピートモス、バーミキュライト、赤玉土細粒、鹿沼土細粒なども少量混ぜると良い土になります。
水はけの良すぎる土は、保水性をよくします。畑土や黒土を混ぜます。
軽い土は流動性があるため大雨や散水で土やたねゴケが流されてしまい、なかなか新芽を育てることができません。川砂や山砂を混ぜて土を重くします。
傾斜があると雨でたねゴケや土が流されてしまうので、平坦なところでまきゴケを施します。斜面部分は「はりゴケ」にします。

プランターや植木鉢の土作り
鉢底に鉢底土(軽石、、ゴロ土や粒の大きい鹿沼土、赤玉土、底部用土)をいれます。用土(目土も)は黒土に川砂(または山砂)を混ぜて基本用土にします。あればバーミキュライト、ピートモス、赤玉土細粒などを混ぜます。表土を平らにならします。
 
自生地の土を参考に目土つくり
 スナゴケのまきゴケでは目土入れが必需です。目土は粉砕した苔を安定させ、強い日射しから苔を守り、表土の乾燥も防ぎます。そこで良い目土つくりのため、自生地の土を参考に、これに近い目土を作ってみました。自生地の土は細かい砂質で少し粘りがあります。川砂だけでは粗いので、微細も混じる山砂を追加。ねばりに黒土。土が締まらないようにバーミキュライトの細粒を加え、川砂の粒が少し大きいものの自生地に近い土ができました。混合割合は以下の通りです
川砂:8 黒土:4 山砂細粒:2 バーミキュ細粒:1

山砂が入手できないときは、川砂:2 黒土:1 だけでも目土として十分効果があります。

左が自生地の土 右が自作目土

たね苔(生スナゴケ)

ビデオ スナゴケ・テラポットLLでまきゴケ用の種ゴケを準備 16MB・146秒・WMV
      ポットを乾燥させて手で揉んで粉砕しする動画

 新鮮な生苔を用意します。乾燥していても鮮度に関係はありません。苔を手でほぐします。適度に乾燥していれば軽く揉むだけでも細かく粉砕することができます。苔に付いた土や砂利は一緒に混ぜてもかまいませんが、大きめな砂利は取り除いて下さい。  右の画像は粉砕機での粉砕


まきごけ手順    

ビデオ スナゴケまきゴケ法のコツ 14MB・128秒・WMV 
             
    @  用土(黒土(または庭土):4 川砂:2 バーミキュライト:1 ピートモス:1)を入れ平らにならします。深いプランターならば半分ぐらいまで土を入れます。挿し芽箱のように浅いものならば、縁から1〜2cm低くなるように土を入れます。
A 粉砕したスナゴケを用土に均等にまきます。粗くほぐしたたね苔は、苔と苔があまり重ならないようします。
B 目土を被せます。苔が半分隠れるぐらいに薄く均等にまき、軽く鎮圧します。
C たっぷりと水やりします。このとき粉砕した苔が流れたり動かないよう静かに、しかしたっぷりと水やりをしま
      画像 上左はまきゴケの後の目土作業。ゴロ土があるためフルイを使っています。 上右はたね苔から小さな芽がポツポツと伸びてきたもの。30〜60日目ぐらい

管理
   一ヶ月ほどするとポツポツと小さな芽が伸び始め、2〜3ヶ月である程度生え揃ってきます。表土は乾燥しやすいので、乾燥を防ぐためにも薄く目土を加えます。キッチンペーパーを被せるのも効果的です。右右はペーパーが数日で崩れた画像。取り除く必要はありません。
 ・  目土・・・・・・通気性が良く軽い目土を苔に薄く被せることで、表土の乾燥を防ぎます。,また強い日照からも苔を守るります。まきゴケでの目土は必ずおこなうようにしてください。目土は苔の中に入り込み、また水で流されて苔が露出してきます。ほんの少量でもよいので、定期的に薄く目土を加えます。尚、目土は用土として作った物と同じです。
 ・ キッチンペーパー・・・・・  キッチンペーパーを被せておくことで表土の乾燥を防ぎ、安定した発芽が期待できます。丈夫で崩れにくいキッチンペーパーだとかえって発芽を阻害してしまいます。薄く崩れやすいペーパーを使います。ペーパーを被せたまま水やりをします。ペーパーすぐに崩れることもありますが、パルプなので取り除く必要はありません。    厚みのある丈夫なキッチンペーパーは崩れることがないため、被せたままにしておくと日照が不足したり、蒸れも起こします。厚いペーパーを使用するときは、乾燥しやすい日中だけ被せて、夜は剥がすなどの管理が必要です。
  ・ 被覆資材・・・・・ホームセンターで販売されている軽くて薄い園芸資材です。プランター全体に被せることで、乾燥した室内でも安定した空中湿度を維持できます。寒冷紗なども被覆資材になりますが、これは屋外での管理に有効です。屋外にプランターを並べ、トンネルパイプの上から被せます。降雨での雨の跳ね返りには特に有効で、屋外管理ではお勧めです。
  ・ 水やり・・・・・・水やりのたびに水圧で苔が動くようでは、新芽は出てきません。霧吹きを使うなど丁寧な水やりが必要です。キッチンペーパーの上からの水やりは効果的です。