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管理 − 日除け・遮光対策
日除けの効果 日陰の作り方


スナゴケのような好日性の苔でもまったく日陰のない、陽の当たるような場所では良く育ちません。日陰性の苔を陽の当たる場所に植えることはないと思いますが、半日陰性や好日性の苔は、植え付けてから日当たりが良すぎることに気づくこともあります。特に夏の強陽射しは強烈で、長く陽が当たる場所では日除け対策が必要になります。日陰作りにはよしずや遮光ネット(寒冷紗)を使う場合と庭木を植えて日陰を作る方法がありますが、ここでは一時的な日除け対策について説明します。

日除けの時期

日除けは陽射しの強い7月の終わりから8月までの作業で、その前後の7月までは梅雨の季節であり、9月になると陽射しも夏ほどは厳しくなく、秋雨で雨も多くなります。9月になっても遮光ネットが必要とする場所ならば、一時的な日陰対策ではなく、庭樹を考える必要があります。

植木鉢や苗箱の日除け対策

植木鉢や育苗箱に植えた苔ならば移動も容易ですから、日陰に移すことができます。移動が難し場所ではよしずやすだれを張って日光を遮ります。狭い面積の場合は垂木やパイプで日除け棚を組み立てて遮光ネットを高い位置に張るようにします。苔に近いところで覆ったり、或いはベタ掛けすると夏場は蒸れることがあり危険です。風通しを考えて日陰を作るようにしてください。


広い面積の日陰対策

狭い面積ならばよしずを立てたりすだれを張るのも容易ですが、広い面積の場合は張りめぐらせるのも困難になります。もっとも植え付けるときに夏の陽当たりも考えて植えれば、広い面積に張る必要もないのですが、日陰を作っていた樹木がなくなってしまったり、自然に発生した苔を殖やしたいときなどは対策が必要になります。また植え付けてから間もないところの日除け対策は効果的で、その後の生育にも大きく影響します。広い面積での日陰つくりを長久的に考える場合は、先のとおり樹木の定植が必要になりますが、以下では緊急時の対策として簡単な日除け作業を説明します。

寒冷紗、遮光ネット、よしず

よしずは葦の茎で作った天然の素材で古来より使われてきました。長所は取り外しや覆い掛けが簡単で、天気をみながら日除け対策ができます。遮光ネットは日除けを目的としたネットで濡れても重くならず、素材もいろいろあります。寒冷紗は農業でトンネル掛けとして冬に使われますが、また遮光ネットとしても使われます。ここでは寒冷紗と遮光ネットは同じ資材とします。いずれの素材も遮光効果だけでなく、通気性が良く遮熱効果もあり、夏の苔植物にとっては遮光効果以上に遮熱の方が重要かもしれません。

太陽の動きを観察する

樹木のある庭では日向と日陰が混在し、また日陰も時々刻々と移動します。一日を通して太陽の動きを見ていると、場所場所でどのくらいの時間日照があるのかが分かってきます。強光線の当たる場所や強光線に極端に弱い苔、或いは暑さや乾燥に弱い苔には早めに日除け対策を施すようにしてください。
また好日性のスギゴケやスナゴケは、圃場で日除け対策はしません。それで日焼けを起こすこともありますが枯れることはありません。庭に植えた好日性のものは日照に強い苔ですから、一日中遮光し続ける必要はなく、厳しい陽射しの時に遮光してやるだけでも充分に効果はあります。

簡単なトンネル資材

遮光ネット、あるいはよしずでの日除けに、苔へのベタ掛けはできません。通気性が悪くなるため夏の陽射しでなくても蒸れを起こす危険があります。通気性を良くし、遮熱もするためには苔からある程度の高さまで持ち上げてやる必要があります。そこで重宝なのがアーチ型のトンネル支柱で、ホームセンターで入手することができます。素材は鉄骨などの材質に緑色にコーティングされたものが多いようですが、他にもプラスチックパイプやグラスファイバーのものなどがあります。トンネルアーチの長さですが、できれば2.7m〜3mの長いものが適しています。支柱の端を20cm程度土に刺しますから、支柱の高さは意外と低くなります。通気性を考えた場合遮光ネット、或いはよしずと苔の間には充分な空間を作るようにしてください。トンネルの支柱間隔は1mぐらいが良いでしょう。5mの長さならば6本が必要です。横に広げる場合はトンネル支柱が重なるように刺します。トンネル支柱の設置は土に刺すだけで、撤去も簡単です。