私は愛知県の築100年余りの田舎の家に住んでおります。 庭は300坪ほどで池(今は枯れてます)と沢山の庭石があります。 中略 2年ほど前から杉苔が繁殖し始めました。 最初は喜んでいたのですが、徒長して根元が茶色くなり汚いのです。 しかも杉苔の繁殖力は強くて他の苔を圧倒しつつあります。 徒長を抑えるため踏みつけると良いと書いてありましたが 範囲も広くて私一人で踏んでいるわけにも行きません。 そうなってしまった苔は抜いてしまうしかないでしょうか。 --------------------------------------------------- 長く安定してスギゴケが生育するのは 夜露、朝露があって土質の良いことが分かります。 苔の殖え方としては 胞子から殖える有性生殖と 苔の茎や葉、仮根などが土や倒木などに残って殖える無性生殖があります。 苔園芸で早く殖やすには、 用土に苔をほぐし粉砕して撒くというのが一般的で、 そこで育った苔を一度剥がしてしまうと なかなか新しい芽が育つと言うことはありません。 しかしスギゴケの場合は土の中に残った仮根などからも旺盛に新芽が育ちます。 例えば完全に刈り込み、あるいは薄く表土を剥がして土だけにした場所でも すぐに発芽が見られ(但し冬の場合は春を待ちます) 1〜3年ぐらいできれいな群落を再生します。 全国での苔の生産で最も多いのがスギゴケです。 需要が安定していると言うこともありますが、 表土から土ごと切り取って出荷しても 丁寧に管理していれば生産圃場ですぐに再生が始まるため、 その生産が容易なのも理由の一つです。 さて、お問い合わせのスギゴケの徒長抑制についてですが 長く伸びたスギゴケの根元の表土を観察してください。 根元の表土やその周辺から新しい芽が育っているでしょうか。 スギゴケはその親株を育てるのではなく、 地面からの新芽を多く殖やすのがポイントです。 長く伸びたスギゴケは新芽への光を遮り また通気性を悪くして蒸れを起こすなど新芽の生育を阻害しますので 刈り取ることをお勧めします。 植え付けて1〜2年は美しかったスギゴケが、 3年目ころから段々と枯れていくという問い合わせが良くあります。 これは長く育った苔を放置したため新芽が育たないのも原因の一つかもしれません。 広いお庭の場合は日照や土質、風の通りなど場所ごとに環境が異なり、 苔の生育が良い場所、悪い場所はあります。 今回の場合は、お庭全体がスギゴケの生育に適しているようで、 徒長しすぎたスギゴケは普通に刈り込んでいっても 充分に再生できるように思われます。